行き過ぎたミニマルデザインの時代にロレックスの伝統的腕時計を衝動買い!



T教授の「戦略的衝動買い」
第424回

2017年04月05日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

10年以上探していた理想のシンプルな日常使い腕時計を発見した
10年以上探していた理想のシンプルな日常使い腕時計を発見した

 腕時計の基本的な役割は、ここ20数年あまりの間に携帯電話からスマートフォンに至る一人一台のコミュニケーションツールに奪われ続けてきた。

 そんな腕時計が徐々にではあるが、ミニマルデザイン(必要最低限のシンプルなデザイン)の適価な製品の登場で復権を果たしつつある。

 少しでも腕時計に興味のある人間なら、“機能優先”で“シンプルデザイン”なブラウンの腕時計を一度は見たことがあるだろう。

機能優先でデザインは可能な限りしない! ブラウンの腕時計

ディーターラムスらが“機能優先”“いいデザインは可能な限りデザインをしない”を合言葉に創り出したミニマルデザインの金字塔、ブラウンの腕時計
ディーターラムスらが“機能優先”“いいデザインは可能な限りデザインをしない”を合言葉に創り出したミニマルデザインの金字塔、ブラウンの腕時計

ミニマルデザインは始発駅ではなく機能優先デザインの終着駅だ ミニマルデザインは始発駅ではなく機能優先デザインの終着駅だ

 ブラウンと最も関わりの深いインダストリアルデザイナーであるディーターラムスらが、機能を最優先にして“いいデザインは可能な限りデザインをしない”という、矛盾に満ちた目標を実現した出しゃばらない腕時計だ。

 そんなコンセプトがウケてか、昨今の日本では、多くの思いっきりデザインされた“なんちゃってミニマルデザイン”の腕時計があふれ出てきている。

 流行の頻度がある一定のスレッショルド(しきい値)を超えてしまうと一気に興味を無くしてしまう悪い質の筆者は、おなじみの時計ショップが何軒かあるアメ横で、ここ10年ほど探し続けていた機能一辺倒の腕時計を見つけて衝動買してしまった。

 10年以上も探し続けていた腕時計を買った事実を“衝動買い”と言えるかどうかは客観的にははなはだ疑問ではあるが、“衝動買い”は買おうと日々探す計画を作りはじめてから実際に買うまでの期間や時間ではなく、現物を見て買おうと決心してから実際に支払い処理を完結するまでの時間の関係性だと思っている。

 人にもよるが、時間をかけて本当にほしいモノを探す時、筆者は事前に可能な限りの要求仕様を決めて、少しでもその要求仕様から外れる場合は購入を見送ることがほとんどだ。

 過去の筆者の腕時計購入パターンは、極めて行き当たりばったりで、見た瞬間に一目惚れで買ってしまう“典型的な衝動買い”と、それとは真反対である“要求仕様”を細かく決めた“計画的衝動買い”の二種類のパターンがある。

 その後者である“計画的衝動買い”の対象となったのは、ロレックスが今から13年前の2004年に約50年に渡る生産を終了した「デイトジャスト16264」だった(2002年製造モデル)。

10年以上探してやっと条件を満たす時計に出会う!

10年以上探してやっと出会ったサンダーバードの2002年製造モデル 10年以上探してやっと出会ったサンダーバードの2002年製造モデル

 米国空軍のアクロバットチームである「サンダーバーズ」のリーダーであった「ドン・フェリス大佐」の“退役記念モデル”として特別注文された事から「サンダーバード」モデルと呼ばれるようになったようだが、真実はほんの一部の関係者しか知らないのだろう。

 筆者がこの腕時計を探し始めたのは、生産終了を知った翌々年の2006年頃からである。なんと今回は11年後の偶然の出会いだった。

 脊髄反射的な衝動買いを得意とする筆者だが、今まで何度か紹介いただいたサンダーバードを見送った理由は、どうしても探している自分なりのスペックがあったからだ。そのスペック自体はそれほど特殊ではないはずなのだが、残念ながら今まで不思議なくらいまったく出会いはなかった。


スポーツ系の3連「オイスターブレス」(左)ではなく、5連の「ジュエリーブレス」(右)がグッドバランスだ

シルバー(銀)にも見えるが、グレイの文字盤と時刻インデックスのローマン数字が筆者の理想だ
スポーツ系の3連「オイスターブレス」(左)ではなく、5連の「ジュエリーブレス」(右)がグッドバランスだ シルバー(銀)にも見えるが、グレイの文字盤と時刻インデックスのローマン数字が筆者の理想だ

ロレックスのホンモノだけが日本ロレックスでオーバーホールを受けることができる。逆説的に保守修了証書はホンモノの証明書になる
ロレックスのホンモノだけが日本ロレックスでオーバーホールを受けることができる。逆説的に保守修了証書はホンモノの証明書になる

 具体的に筆者の探していたモデルは、まずブレスレットが3連のスポーツタイプのオイスターブレスではなく、5連の「ジュビリーブレス」であること。そして文字盤は“グレイ色”で時刻インデックスの数字は“ローマン数字”だ。

 それらに加えて、ロレックスの日本法人である日本ロレックスでオーバーホールされた経緯のある正真正銘のホンモノであることだった。

 ロレックス腕時計としてはそれほど特殊な要求仕様ではなかったが、時々ネットを見たり都内の腕時計ショップを散策している程度の探し方ではこの10年ほど見つからなかったのが現実だ。

 生産終了してからすでに10年以上が経過し、コレクションして手放さないユーザーも多く、それゆえ、それほど多くのサンダーバードが中古市場にないのかもしれない。






この連載の記事


こんな記事もよく読まれています