クアルコムのチップを採用したWindowsパソコンは、スマホとPCの融合を … – WIRED.jp



米半導体大手のクアルコムが、同社のチップ「Snapdragon」を採用したWindowsパソコンをエイスース(ASUS)とHPが発売すると発表した。小型軽量でバッテリーが20時間程度も持続するというモバイルデヴァイスは、その軽い動作やLTE通信網への常時接続などによって、スマホとパソコンの融合を実現する可能性を秘めている。

TEXT BY DAVID PIERCE

WIRED(US)

PHOTOGRAPH COURTESY OF HP

すべてのガジェットが、まったく異なることをしていた時代があった。携帯電話はサクサク動き、ポケットのなかでバッテリーは3日間も持続したが、わずかなことしかできなかった。コンピューターはとても多くの機能を備えていたが、大きすぎて持ち運ぶことなどできなかった。すべてに目的があり、重複することはほとんどなかったのだ。

でも現在はどうだろうか。スマートフォン、ノートパソコン、タブレットなどで、さまざまな場所で映画を観たり、ゲームをしたり、非常に重要な仕事をしたりできる。あらゆるデヴァイスが、すべての機能を兼ね備えているのだ。

ハイテク業界は、世界が向かっている方向を理解しているらしく、それに応じて変化している。サムスンの「DeX Station」システムは、スマートフォンをデスクトップパソコンのようなものに変えようとしている。アップルの「iPad」は、パソコンとスマートフォンのちょうど中間地点に陣取ろうとしている。グーグルの「Pixelbook」はスマートフォン用アプリを使うことができ、キーボードとトラックパッドを備え、タブレットとにもなる。ノートパソコンとは名ばかり、と言っていい。

PHOTOGRAPH COURTESY OF ASUS

そして現在、世界の携帯電話の半分近くのチップと無線デヴァイスをつくるクアルコムが、このアイデアをさらに進化させようとしている。Windows対応でありながらハイエンドのスマートフォンのように動くパソコンをつくるという、マイクロソフトとの長年にわたるプロジェクトの結果を2017年12月5日(米国時間)に発表したのだ。

それらはすぐに起動し、LTE通信網につながり、バッテリーは20時間も持続する。クアルコムのSnapdragon 835プロセッサーは、17年の優れたスマートフォンのほとんどに搭載されている。クアルコムとマイクロソフトはパートナーシップを通じて「次世代PC」の到来を宣言しており、実際にその約束を履行している。

スマホとパソコンの融合が加速する

これに合わせてエイスース(ASUS)とHPは、Windowsが動作するSnapdragon搭載デヴァイスの最初の2つを発表した。タブレット型の「HP ENVY X2」の重量は約700gで、一度の充電で最大20時間も持続し、iPhoneより少し薄い。「ASUS NovaGo」は、ノートパソコンのようにキーボードとトラックパッド、13.3インチのスクリーンを備えている。どちらもWindows対応でタッチ操作に対応し、一般的なWindowsマシンよりも見栄えがいい。

Snapdragon 835は、スマートフォン用に小さく効率的な構造になっており、超薄型のパソコンに簡単に組み込める。長期的にはクアルコムは、ほかのプラットフォームを実行することも期待している。

クアルコムはAndroidスマートフォンで多くの経験を積んでいる。例えば、Snapdragon搭載の「Chromebook」の成り立ちは理にかなっている。中核技術が非常に似ているので、スマートフォンのメーカーが新しいデヴァイスを簡単につくれるのだ。

パソコンメーカーは、スマートフォンを取り込もうとするかもしれない。AMDとクアルコムが協力してハイエンドのPCを同じようにすることで、携帯電話の機能と融合したパソコンが急速に普及する可能性がある。

クアルコムがMSの失敗から学んだ「教訓」

かつてマイクロソフトは、モバイル性能を重視したWindows端末をつくろうとしたことがあったが、それはうまくいかなかった。「Windows RT」は使い勝手が悪く問題が多いプラットフォームで、人々が使い慣れたアプリを動作させることができなかったのだ。

幸いにも、クアルコムはその教訓を学んだ。新しく発売される「常時接続されたパソコン(Always Connected PCs)」なら、フル機能の「Windows 10」が動作し、すべてのWindowsアプリに対応する。最新のIntel Coreチップを搭載したノートパソコンほどパワフルではないかもしれないが、Snapdragon 835はほとんどの場合において十分なパワーを発揮する。

これらのデヴァイスはバッテリーの持続時間と、もち運びのしやすさを重視してつくられた。クアルコムによると、新しいプラットフォームで動く端末の一部は、普段使いで最大22時間も使用できるという。

クアルコムのSnapdragonのプロダクトマネージャーであるミゲル・ヌネスは、LTE通信に対応したパソコンが登場する可能性についてインタヴューで触れている。クアルコムが力を入れている5Gの通信網が数年後に実用化されれば、空港やカフェなどにあるセキュリティに問題があって遅いWi-Fiを使う必要はなくなる。

ヌネスは、スマートフォンが簡単に使えるのと同じように、ノートパソコンとタブレットを簡単なものにしたいと考えている。いちいちWi-Fiをオンにしてつながるまで待ったり、バッテリーの残りを気にしながらWi-Fiの電波を探して右往左往したりする必要もなくなるのだ。

「パソコン」という概念がなくなる

クアルコムはパートナー企業と一緒にデヴァイス間の壁を崩す試みを続けながら、こうした変化を推し進めてきた。あらゆるデータがクラウド上にあるなら、いつでも好きなデヴァイスからアクセスできるようになる。

キーボードが欲しいって? 今回の新しいデヴァイスが、まさにそうだ。すべてのWindowsアプリが使えて、しかもスマートフォンのように簡単にネットにつながる。バッグの中に十分なスペースがない? それならスマートフォンだけもっていればよくなる。

「パーソナルコンピューター」といえば、「Windows XP」が動く大きくて古い箱のようなイメージをもつかもしれない。でもそれは、かつて電話といえば回転式のダイヤルを備えていたのと同じといえる。スマートフォン、ノートパソコン、タブレット、テレビ、ニンテンドースイッチ──どれも単なるコンピューターにすぎないのだ。




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