正露丸の“ラッパ音”が知的財産に!(日経トレンディネット)



 特許庁は2017年9月26日、音楽的要素のみからなる「音商標」について、初めて登録を認めると発表した。大幸薬品の正露丸のテレビCMでおなじみのラッパのメロディーと、インテル・コーポレーション、BMWのサウンドロゴの3件。いずれもメロディーやハーモニー、リズムなど「音楽的要素のみ」で成立する音商標で、社名や商品名など「言語的要素」が入っていないのが特徴だ。特許庁は2015年4月から、企業のブランド戦略の多様化を支援するため、従来の文字や図形に加え、音や動き、ホログラム、色彩などを「新しいタイプの商標」として認めている。これまでの総出願件数は1582件(2017年11月13日集計時点、以下同)。そのうち音商標は567件で、194件が登録されている。

【関連画像】音商標として登録されたラッパのメロディの楽譜(提供:大幸薬品)

●2年以上かけて慎重に審査

 音商標には、社名や商品名など「識別性のある言語的要素が入ったタイプ」と、今回初めて登録が認められた「音楽的要素のみからなるタイプ」の2種類がある。すでに商標として登録された194件のうち、191件が識別性のある言語的要素が入ったタイプ。久光製薬の「ヒサミツ」というサウンドロゴや、小林製薬の「ブルーレットおくだけ」というメロディー付きのフレーズなどが、その一例だ。

 音楽的要素のみからなる音商標は現在3件だが、出願件数は音商標全体の3割ほどを占める。登録を目指している企業は少なくない。ただ、商標としての「識別力」の審査に時間がかかり、なかなか登録に至らないというのが実情のようだ。大幸薬品のラッパのメロディーも、受け付け開始と同時(2015年4月1日)に出願。登録まで2年半ほどかかった。

 音楽的要素のみからなる音商標の審査に長い時間を要する理由について、特許庁 審査業務部 商標課 商標審査基準室の豊瀬京太郎・室長は次のように説明する。 「音楽的要素のみからなる音商標は、音声データと楽譜に加え、識別力を証明するためにテレビCMやウェブサイトでの広告の出稿数や期間、取り引き伝票、全国的にどう広がっているかなど、さまざまな資料を提出してもらっている。それを一つひとつ精査しているため、どうしても時間がかかる」

●これからは音のマニュアルも必要に

 音商標の場合、識別性のある言語的要素が含まれている場合は、誕生直後に登録される可能性はある。だが、音楽的要素のみからなるタイプは、長年にわたって広告などで使い続けてきた「過去の実績」が必要となる。要するに、どんなに独創的なサウンドロゴを開発しても、世の中に広く浸透するまで登録できない。ブランド戦略として早期の登録を目指すのであれば、これからつくるサウンドロゴには識別性のある言語的要素を含ませることも検討すべきだろう。

 通常、音楽は著作権で保護されるが、サウンドロゴは短いため著作物として認められにくいといわれていた。確かに、音楽的要素のみの音商標は登録までのハードルは高いが、「サウンドロゴが保護される道が開けたことには意義がある、という声も届いている」と特許庁 審査業務部 商標課 商標審査基準室の石塚利恵氏は言う。

 基本的なことだが、提出する楽譜と音が一致していないと、申請は認められない。「例えば、メロディーは一緒でも音程が違ったり、アレンジが加えられて楽譜通りに表現されていなかったりという理由で申請が通らず、拒絶となるケースも少なくない。これからは、ロゴ・マークのCIマニュアルのように、サウンドロゴやメロディー付きのフレーズなども、基本となる『五線譜の楽譜』を制作しておくと登録がスムーズになるだろう」と豊瀬室長は話す。

(文/西山薫=ライター)

出典:特許庁ウェブサイト




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